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受けとめられない点はあるが、本土系企業による投資だからといって全ての利益が沖縄からリークするわけではない。観光事業効果に関する理論的研究でも、また沖縄をケーススタディーとしたいくつかの実証的研究でも、地域経済効果の発現は疑う余地もないが、なおそれを疑問視するのは、観光事業に対する理解が不充分であることと、感情論によるものであると思われる。

 

(2)観光事業における雇用効果
観光事業の内、特に宿泊産業は労働集約型産業であり、1室1人を標準として0.7人/室から1.3人/室の間に一流といわれるホテルのほとんどがはいり、その比率が大きいほどサービス水準が高いとされている。労働集約型産業であることは、地域にとっては多くの雇用が期待されることとなる。
しかし、ホスピタリティー産業では、人と接することにより付加価値を発生させるため、接遇の技術が必要となる。都市型ホテルのように人材が豊富である場合や、ある程度観光事業が展開していて他社からの引き抜きが可能であったり、地域として観光事業のための人材育成の素地ができあがっている地域では、雇用の確保がしやすいといえる。過疎地域など本来人口が少なく、観光産業の基盤も確立していない地域では、地元からの雇用の確保は難しい状況となる。宿泊業の経営側としては、交通費や宿舎費等を考えると、できるだけ多くの従業員を地元から採用した方が経営効率がよいため、地元の期待と利害が一致するが、社会的環境が充分に整備されていないと、外部からの雇用に頼ることになる。

 

(3)沖縄県のホテルにおける地域雇用の実態
各ホテルにおける地元からの採用状況を把握するために、県内のホテルを対象にアンケート調査を実施した。調査は1992年度に行った調査を中心に、1995年に追加調査を行った。対象は宿泊施設として沖縄県観光連盟に登録されているすべての施設の中から、民宿とペンションを除いた72のホテルについて行った。
なお、地元雇用効果の測定項目について、「地元」の定義は「最終出身校が県内であるか、両親が沖縄県出身であるか」とした。

 

表2−1 従業員の県内比率 総括表

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(名桜大学小濱観光学研究室)

 

表2−1は、調査対象全体の平均値を示している。常雇従業員の県内出身者比率は予想以上に高く、約9割の水準である。リゾートが本格化してまだ間もないことを反映して、管理職者における県内出身者比率はやや下がり、72.5%である。ヒアリング等の結果からは、本土系の各社も地元出身者の中間管理職あるいはトップマネージメント要員の育成を急いでおり、今後この値は上がっていくことが予想される。季節雇用の従業員は、夏のマリンインストラクターが主で、県内出身者比率は低い。インストラクター養成の専門学校が開校するなど、この分野での人材育成が本格化しており、将来的には地元出身者が増加していくことが予想される。
スキーリゾートにおいてスキーインストラクターがUターン対象になっているよう

 

 

 

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